Nature ハイライト 進化:誤りを指し示すパンデリクティス 2008年12月4日 Nature 456, 7222 古い仮説では、四肢動物(陸生脊椎動物)の指趾は、魚類のひれの放射骨に対応するものと考えられていた。しかし、この考え方はその後、胚発生研究とパンデリクティス(Panderichthys)のひれを根拠に支持されなくなった。パンデリクティスは陸生脊椎動物に近縁の絶滅魚類で、ひれの遠位に指趾に似た放射骨はなかったと考えられたのである。魚類がその進化史の早い段階では指趾に対応する構造をもっていたことを示す証拠が出されたものの、この説が完全に受け入れられるにはパンデリクティスが障壁になっていた。今回、標準的なパンデリクティス化石標本の1つをコンピューター断層撮影で新たに解析した研究により、旧来の解釈が誤りであることが明らかになった。パンデリクティスには、確かに指趾に似た放射骨があったのである。かくして時代は、「ひれ・オ・フィッシュ」から「フィッシュ・フィンガー」に進みつつある。 2008年12月4日号の Nature ハイライト 宇宙:ティコ・ブラーエが観測した超新星はIa型だった 気候:北極域でのメタン放出を再検討する 細胞:幹細胞の老化 宇宙:金星の雲を調べる 地球:メンタワイ地域の地震応力 進化:誤りを指し示すパンデリクティス 細胞:二重の暴露 細胞:受精の最初の過程 神経:神経運動系の代替装置 目次へ戻る