Nature ハイライト 細胞:昆虫にも足細胞に似た細胞がある 2009年1月15日 Nature 457, 7227 脊椎動物の腎臓にある糸球体は、足細胞と呼ばれる特殊化した上皮細胞からなり、血液濾過障壁によって血液を限外濾過して尿を生成する。糸球体と尿細管によって構成されるネフロンは、脊椎動物に特徴的な適応構造だと考えられている。しかし、「ネフロン様」の性質は、多くの無脊椎動物の排出系にも見いだされる。今回Weaversたちは、ネフロサイト(nephrocyte)として知られる昆虫の濾過細胞に、足細胞と著しい類似点がみられることを報告している。腎臓のスリット膜を構成する主要成分のショウジョウバエにおける相同成分は、脊椎動物にみられるのものとよく似た相互作用するタンパク質の複合体を形成する。ネフロサイト膜は、ネフリンまたはNEPH1の相同体が変異したショウジョウバエでは完全に失われており、これはヒトの腎臓疾患である先天性ネフローゼ症候群(NPHS1)の表現型に類似している。このことは、昆虫のネフロサイトが、腎臓足細胞の生物学的性質や足細胞が関係する疾患を研究するためのモデルになることを示している。 2009年1月15日号の Nature ハイライト 細胞:培養系で疾患を模倣 生理:視覚のもう1つの側面 宇宙:「青色はぐれ星」の起源 物理:ポラリトン凝縮体 進化:魚類の進化史に誤り? 細胞:概日周期で働く合成回路 脳:体験から学ぶ 細胞:昆虫にも足細胞に似た細胞がある 植物科学:効率よく成長する植物 目次へ戻る