Nature ハイライト 行動進化学:いい人であることの御利益 2009年1月1日 Nature 457, 7225 人間社会では、非協力者が悪い評判を得る場合に、利他行動が進化する。しかし、非協力者に懲罰を与え続けることは、どこまで賢明といえるのだろうか。それは、懲罰が与える側にも、与えられる側にもコストのかかるものだからである。大槻久(東京工業大学およびPRESTO)たちは、全員が他者間の相互作用を観察し、さまざまな社会規範に従って他者の評判を定めるというゲーム理論モデルを用いて、懲罰が有利に働く状況を探った。コストを伴う懲罰は協力の進化を促進する場合があるものの、それは狭いパラメーター領域下でのみ起こることがわかった。間接互恵性は効率がより高くなるように進化するので、コストを伴う懲罰は非効率なものと考えられる。 2009年1月1日号の Nature ハイライト 細胞:がん幹細胞の自己複製 細胞:DNA二本鎖切断の新しい修復経路 宇宙:星形成での自己重力 量子情報科学:限界までスクイーズする 行動進化学:いい人であることの御利益 視覚:画像を作り上げる 免疫:エイズワクチンの見直し 細胞:骨髄のニッチ 細胞:バーシカンが転移を進める 目次へ戻る