Nature ハイライト 細胞:DNA二本鎖切断の新しい修復経路 2009年1月1日 Nature 457, 7225 DNA二本鎖切断の修復は、失敗するとゲノム不安定性や発がん、細胞死を引き起こす可能性があるため、真核細胞にとって重要である。哺乳類のDNA二本鎖切断に対する早期の細胞応答は、この応答に特異的に働くヒストンH2A.Xのセリン139のリン酸化である。今回さらに、H2A.Xのこれまで知られていなかったリン酸化部位として、チロシン142が明らかになった。この部位のリン酸化は、クロマチンリモデリング因子WSTFによって触媒される。WSTFは、ウィリアムズ・ビューレン症候群(ヒト第7染色体の一部欠失によって起こる発達障害)の患者でしばしば欠失が認められる。今回の研究は、哺乳類細胞のDNA損傷応答の際にクロマチン再構築を特異的に制御する新規経路の存在を明らかにし、ウィリアムズ・ビューレン症候群の分子基盤をはっきり示している。 2009年1月1日号の Nature ハイライト 細胞:がん幹細胞の自己複製 細胞:DNA二本鎖切断の新しい修復経路 宇宙:星形成での自己重力 量子情報科学:限界までスクイーズする 行動進化学:いい人であることの御利益 視覚:画像を作り上げる 免疫:エイズワクチンの見直し 細胞:骨髄のニッチ 細胞:バーシカンが転移を進める 目次へ戻る