Nature ハイライト 細胞:バーシカンが転移を進める 2009年1月1日 Nature 457, 7225 遠隔部位への転移は、がんに関連する死亡の主な原因である。がん細胞の炎症性微小環境の研究から、細胞外マトリックスに存在するプロテオグリカンであるバーシカンが、転移を推し進める因子である可能性が明らかになった。高い転移能をもつルイス肺がん細胞から、強力なマクロファージ活性化因子として単離されたバーシカンは、多くのヒト腫瘍で発現の上昇がみられる。バーシカンは、Toll様受容体TLR2を介して骨髄細胞に炎症性タンパク質TNF-αの産生を促し、それによって転移が促進される。この知見は、バーシカンやこのシグナル伝達経路のほかの構成要素が、抗転移介入の標的になる可能性を示している。 2009年1月1日号の Nature ハイライト 細胞:がん幹細胞の自己複製 細胞:DNA二本鎖切断の新しい修復経路 宇宙:星形成での自己重力 量子情報科学:限界までスクイーズする 行動進化学:いい人であることの御利益 視覚:画像を作り上げる 免疫:エイズワクチンの見直し 細胞:骨髄のニッチ 細胞:バーシカンが転移を進める 目次へ戻る