Nature ハイライト 生理:脂肪を消費して生き延びる耐性幼虫 2009年1月8日 Nature 457, 7226 線虫(Caenorhabditis elegans)の幼虫は、過酷な環境で生き延びるために、耐性幼虫(ダウアー)になることがある。耐性幼虫になると、餌は食べないが生命活動は維持され、ストレスに耐性を示して非常に長く生きる。典型的な耐性幼虫では、インスリン様シグナル伝達が低下し、栄養が十分に貯蔵され、代謝全般が変化する。P NarbonneとR Royは、AMPK(LKB1)シグナル伝達がないと、耐性幼虫は貯蔵エネルギーを速やかに消費し尽くし、致命的な臓器不全を起こして早く死んでしまうことを明らかにした。正常な耐性幼虫では、LKB1/AMPKがトリグリセリドの加水分解速度を下げることによって貯蔵脂肪が長持ちし、浸透圧の調節が適切に維持されるため、餌を必要とせずに確実に長生きできるのである。今回の知見は、老化、糖尿病、肥満に関する研究に関係がある。 2009年1月8日号の Nature ハイライト 細胞:リボソームがもつ校正機構 宇宙:天体の磁場を生み出すダイナモ 地球:小惑星の地殻形成 脳:正しい音で歌う 医学:非番のキラー細胞 免疫:経験から得たものは大事に 細胞:炎症とがん 聴覚:繊毛がバランスをとる 生理:脂肪を消費して生き延びる耐性幼虫 目次へ戻る