Nature ハイライト 聴覚:繊毛がバランスをとる 2009年1月8日 Nature 457, 7226 ゼブラフィッシュでは、ヒトやほかの脊椎動物と同様に、聴覚と平衡覚は内耳の機械センサーによって仲介される。このセンサーは耳石(平衡石)と呼ばれ、生体が作り出す鉱物の複合結晶である。Colantonioたちは、ゼブラフィッシュ胚のin vivoビデオ顕微鏡観察により、液体中に繊毛によって作り出される流れが、耳石の数、成長、存在位置だけでなく、発生段階での鉱物化にも影響することを明らかにしている。「モルホリノ」アンチセンス核酸を用いた遺伝子ノックダウンにより、ダイニン調節複合体が繊毛の運動性に必要であることが示された。したがって、繊毛が作り出す流れは、耳石の生体鉱化を制御する重要なエピジェネティック因子であると考えられ、ダイニン調節複合体サブユニットがヒトの繊毛病の疾患遺伝子候補として浮上してきた。 2009年1月8日号の Nature ハイライト 細胞:リボソームがもつ校正機構 宇宙:天体の磁場を生み出すダイナモ 地球:小惑星の地殻形成 脳:正しい音で歌う 医学:非番のキラー細胞 免疫:経験から得たものは大事に 細胞:炎症とがん 聴覚:繊毛がバランスをとる 生理:脂肪を消費して生き延びる耐性幼虫 目次へ戻る