Nature ハイライト 医学:非番のキラー細胞 2009年1月8日 Nature 457, 7226 マウス中枢神経系へのリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染は、慢性ウイルス性疾患のモデルとして広く使われている。この種の疾患にはLCMV特異的細胞傷害性Tリンパ球(CD8+ T細胞)がかかわっているが、発症にどのような役割を果たすのかはよくわかっていない。このようなTリンパ球のもつ「キラー活性」が発症に絡んでいると予想されていたが、二光子蛍光顕微鏡を用いた新たな研究が行われ、そうではないことが示唆された。細胞傷害性Tリンパ球は、単球や好中球を脳脊髄膜の血液脳関門へと呼び寄せる働きをしているらしい。この部分の血管が漏出性になり、致命的なけいれん発作が起こる。このことから、これらの細胞がどのような仕組みで誘引され、また、どのようにして髄膜のこうした損傷を引き起こすのかという新たな疑問が出てくる。また今回の結果は、新しい薬剤標的をいくつか示唆している。 2009年1月8日号の Nature ハイライト 細胞:リボソームがもつ校正機構 宇宙:天体の磁場を生み出すダイナモ 地球:小惑星の地殻形成 脳:正しい音で歌う 医学:非番のキラー細胞 免疫:経験から得たものは大事に 細胞:炎症とがん 聴覚:繊毛がバランスをとる 生理:脂肪を消費して生き延びる耐性幼虫 目次へ戻る