Nature ハイライト 海洋:海でのフェリチンの役割 2009年1月22日 Nature 457, 7228 非ヘム鉄タンパク質であるフェリチンは、多くの植物、動物、微生物で必要なときにすぐに動員できる非毒性の可溶型で鉄を貯蔵するのに用いられている。今回、Pseudo-nitzschiaとFragilariopsisという2属の珪藻類でフェリチンが見つかった。この2属は、海洋への鉄の自然補給および人為的補給によって引き起こされる、植物プランクトン大増殖で多数を占める珪藻類である。これは、単細胞藻類、珪藻類、大型藻類など多くのプランクトン構成生物を含む真核生物系統群であるストラメノパイル(Stramenopila)の仲間に、フェリチンを保有するものがあることを初めて示した報告である。系統発生解析からは、フェリチンが、遺伝子の水平伝播によってごく少数の珪藻類に現れたことが示唆された。海洋の30〜40%では鉄の利用可能度が一次生産の制限要因となっており、こうした水域ではフェリチン保有が少数の珪藻類の繁栄に重要なのかもしれない。 2009年1月22日号の Nature ハイライト 気候:季節の調整 構造生物学:GアクチンからFアクチンへ 細胞:環状ATPアーゼによるDNAの詰め込み方 宇宙:初期宇宙でどんどん進んだ星形成 光学:理想的なQ値 海洋:海でのフェリチンの役割 生理:やっと見つかった性 医学:脳は先回りして考える 免疫:ウイルスと自然免疫のバトル 目次へ戻る