Nature ハイライト 気候:南北気候シーソー 2009年2月26日 Nature 457, 7233 理論モデルと観測データから、北半球と南半球の気候がシーソーのようにふるまうこと、すなわち、北の海が暖かくなると南の海が冷たくなり、その逆の場合もあることが、ずっと以前から示唆されている。しかしこれまでのところ、観測データから、南極の気候応答は北極と比べて非常に弱いことが示されている。今回、南大西洋の海洋コアから得られた、 浮遊性有孔虫群集、マグネシウム/カルシウム比、温度、海洋生産性などの新しい記録を分析して、最終退氷期には、北大西洋の温暖化とほぼ同時に南大西洋の寒冷化が起こったことが示された。これは直接的なシーソー関係を示す初めての具体的証拠で、北大西洋の急速な温暖化とより緩やかな南極の応答の関連も明らかになり、北半球の急速な退氷を駆動できる可能性のある機構も示唆されている。 2009年2月26日号の Nature ハイライト 気候:南北気候シーソー 細胞:弾性が血管新生にかかわる 物性:まだまだ見つかるシリコンの意外な性質 材料:ナノスケールでの摩擦 地球:砂の移動 進化:初期の脊椎動物の生殖 医学:プリオンはアルツハイマー病にも関係する 細胞:インスリンシグナル伝達の脱線 植物:植物免疫応答とサリチル酸 目次へ戻る