Nature ハイライト 細胞:インスリンシグナル伝達の脱線 2009年2月26日 Nature 457, 7233 2型糖尿病や肥満に特徴的にみられるインスリン抵抗性は、インスリンが受容体によるシグナル伝達をうまく起こせないことが原因である。こうした欠陥が生じる仕組みを細胞レベルで突き止めるのは、これらの病気の解明に不可欠である。2型糖尿病の臨床試料とマウスモデルでの実験により、効率のよいインスリンシグナル伝達には、骨格タンパク質β-アレスチン2が必要で、これが下流のキナーゼAktやSrcとインスリン受容体とを結びつけていることが明らかになった。糖尿病マウスでも、糖尿病患者でも、β-アレスチン2の発現が抑制されている。β-アレスチン2がないとインスリン抵抗性が生じるが、その発現を回復させると、マウスは再びインスリン感受性に戻る。この結果から、インスリン抵抗性やそれが関係する病気の新しい治療標的が見えてきた。 2009年2月26日号の Nature ハイライト 気候:南北気候シーソー 細胞:弾性が血管新生にかかわる 物性:まだまだ見つかるシリコンの意外な性質 材料:ナノスケールでの摩擦 地球:砂の移動 進化:初期の脊椎動物の生殖 医学:プリオンはアルツハイマー病にも関係する 細胞:インスリンシグナル伝達の脱線 植物:植物免疫応答とサリチル酸 目次へ戻る