Nature ハイライト 細胞:機能をもつ大型RNA 2009年3月12日 Nature 458, 7235 哺乳類のゲノムからは転写によって大型の非コードRNAが多数作られるが、それらの機能は解明されていない。その一因は、これらの転写産物が進化上よく保存されていることを示す証拠がほとんどないことだが、謎に包まれたこれらの分子について解明を進める新しい方法が考案された。RNA分子そのものを対象にするのではなく、マウスの4種類の細胞のDNAにあるクロマチン修飾、すなわちエピゲノミックな標識に着目することで、大型の非コードRNA分子の存在を明らかにしたのである。この方法で調べたところ、複数のエキソンを含み、既知のタンパク質コード遺伝子座とは重なり合わず、高度に保存されている大きい転写単位が1,000個以上見つかった。これらの大型介在性非コードRNA(lincRNA)のそれぞれについて考えられる機能は、幹細胞の多能性から細胞増殖に至るまでさまざまである。こうした過程にかかわる転写因子が、特定のlincRNAを調節していることがわかった。また、こうしたlincRNAの大半は哺乳類全体でよく保存されている。 2009年3月12日号の Nature ハイライト 神経:異なる感覚を共通の器官で処理する方法 物理:光と物質の結合の時間制御 物性:圧力下で増えるLiとNaの電気抵抗 材料:高速充放電が可能な電池 地球:地震への道のり 免疫:HIV/エイズでの免疫を増強する 細胞:宿主選別のための遺伝子 細胞:機能をもつ大型RNA 目次へ戻る