Nature ハイライト 細胞:宿主選別のための遺伝子 2009年3月12日 Nature 458, 7235 細菌と動物との間の有益な関係の解明は、病原微生物学をはじめとする生物学の各領域にとって、重要となっている。多くの病原体は、単一の宿主または組織に対して特異性を示すが、このような特異性の分子基盤はほとんどわかっていない。ダンゴイカの一種であるEuprymna scolopesと発光細菌Vibrio fischeriとの相利共生における宿主特異性についての比較ゲノム研究から、細菌のrscSというただ1つの調節遺伝子が、宿主域を変化させることが明らかになった。この遺伝子を、日本のマツカサウオに本来寄生しているV. fischeri株に発現させると、それだけで、イカへの寄生に不可欠な共生のためのバイオフィルムが作られるようになる。今回の研究結果から、治療目的で、ヒト病原体の宿主特異性を同じように操作できる可能性が出てきた。 2009年3月12日号の Nature ハイライト 神経:異なる感覚を共通の器官で処理する方法 物理:光と物質の結合の時間制御 物性:圧力下で増えるLiとNaの電気抵抗 材料:高速充放電が可能な電池 地球:地震への道のり 免疫:HIV/エイズでの免疫を増強する 細胞:宿主選別のための遺伝子 細胞:機能をもつ大型RNA 目次へ戻る