Nature ハイライト 物性:圧力下で増えるLiとNaの電気抵抗 2009年3月12日 Nature 458, 7235 固体を圧力下に置くと、原子間距離は縮まる。そして極端な高圧下では、電子密度が増大するため、すべての物質は理想的な金属に近づく。このため、圧力下では、リチウムやナトリウムなどの「単純な」金属は、ますます優れた伝導体となりそうだ。しかしおよそ10年前に計算によって、どちらの元素もそのように素直に応答するわけではないことが示唆され、アルカリ原子は、圧力をかけると対を形成し、絶縁性をもつ複雑な構造になると予測された。今回2つの研究グループが、この予測が正しいことを実験により確認した。つまり、リチウムとナトリウムは、圧力をかけるにつれて金属らしさが増していくのではなく、ますます金属らしくなくなるのだ。Maたちは、200 GPaの圧力で約5倍圧縮すると、ナトリウムが可視光に対して透明で金属光沢のない高密度絶縁物質に変換されることを見いだした。一方、松岡岳洋と清水克哉(大阪大学)は、80 GPaの圧力で2倍圧縮すると、リチウムが金属から半導体に変わることを明らかにしている。 2009年3月12日号の Nature ハイライト 神経:異なる感覚を共通の器官で処理する方法 物理:光と物質の結合の時間制御 物性:圧力下で増えるLiとNaの電気抵抗 材料:高速充放電が可能な電池 地球:地震への道のり 免疫:HIV/エイズでの免疫を増強する 細胞:宿主選別のための遺伝子 細胞:機能をもつ大型RNA 目次へ戻る