Nature ハイライト 細胞:リステリアの二重生活 2009年6月18日 Nature 459, 7249 リステリア菌Listeria monocytogenesは土壌細菌の一種で、生物の死体を栄養素とし、その有機物を分解する腐生菌として生活している。この菌はまた、食品、主として乳製品に混入して、重篤な食中毒を引き起こすことがある。さまざまな生育条件においたリステリア菌のトランスクリプトーム(細胞内の転写産物mRNAの全体像)の解析によって、腐生菌から病原菌への生活様式の切り替えに関するてがかりが得られた。データから明らかになったのは予想外に複雑な転写プログラムで、50種類の非コードRNAや長いアンチセンスRNAなどの一連の新規な調節RNAがかかわっている。感染したリステリア菌は、転写プログラムをしだいに作り替えていき、腸内あるいは血液中で生育した細胞では特定の非コードRNAが選択的に発現されるようになる。 2009年6月18日号の Nature ハイライト 進化:恐竜の手の内 医学:マラリア原虫のタンパク質輸送装置 細胞:リステリアの二重生活 宇宙:潮汐作用で生じるイオの火山活動 物理:ナノ機械振動 気候:季節の調整 進化:皆それぞれが個体 遺伝:神経芽細胞腫でみられるコピー数多型 植物:ヒナゲシの自己認識 目次へ戻る