Nature ハイライト 細胞:老いた体へ新しい血を 2010年1月28日 Nature 463, 7280 老化に伴う造血幹・前駆細胞の機能低下は、微小環境つまり幹細胞ニッチからのシグナルに影響を受けることを示唆する間接的な証拠があるが、この仮説を裏付ける実験的な証拠はこれまでなかった。今回マウスでの研究から、幹細胞を支持するニッチ細胞の老化に伴う変化が、造血幹細胞の機能不全を実際に引き起こすことが確認された。ニッチ細胞の老化依存的な異常は全身的に調節されており、またこれは、若齢マウス循環系への曝露、あるいは、進化の過程で保存されてきた長寿調節因子であるインスリン様増殖因子1(IGF-1)の骨髄微小環境での中和によって回復する。したがって、老齢個体で血液によって運ばれる因子が、局所のニッチ細胞を介して、幹細胞機能の老化依存的障害を引き起こすように機能する。このことから、循環環境を標的としてニッチ細胞や幹細胞の機能を維持することで、老いた血液系の機能を若返らせることも可能かもしれない。 2010年1月28日号の Nature ハイライト 細胞:老いた体へ新しい血を 生化学:ワルファリンの標的の構造 宇宙:一風変わった超新星 化学:鎖を断ち切る 気候:CO2フィードバックの再計算 進化:Y染色体を比べてみれば 免疫:ナチュラルヘルパー細胞 細胞:Hsp70がリソソームを救う 遺伝子工学:バイオマス生産量を増やす 目次へ戻る