Nature ハイライト 気候:太陽光スペクトルの変動と気候 2010年10月7日 Nature 467, 7316 これまでの知識から、11年の太陽活動周期の放射強制力と関連する気候への影響は同期していると考えられている。しかし、最近の人工衛星での観測データから、少なくとも最新の第23太陽活動周期の衰退期には、太陽変動に意外なスペクトル成分が存在するようにみえることがわかった。すなわち、紫外線放射が大きく減少している一方で、可視光放射が増加しているのである。J Haighたちは今回、これらのスペクトル変動を放射光化学モデルに組み込み、この変動によってオゾンが高度45キロメートルより下では減少し、それより上では増加することを明らかにしている。このようなオゾン変化の結果として、地表の気候に対する放射強制力は太陽活動と同期しなくなる。この知見は、異例だった可能性がある太陽活動周期から得られた短期間の記録に基づいているものの、気候に対する太陽強制力についての認識を大きく修正したほうがよいことを示唆している。 2010年10月7日号の Nature ハイライト 神経:視細胞ネットワークの地図を作製 生化学:明らかになったBRCA2タンパク質の特徴 ナノテクノロジー:帯電させて捕まえる 気候:太陽光スペクトルの変動と気候 地球:火山弧の形成 生態:気候温暖化が動物の代謝に及ぼす影響 細胞:肝細胞の倍数性 医学:感染性下痢の原因毒素を見直す 目次へ戻る