Nature ハイライト 細胞:強い光による損傷を防ぐ 2009年11月26日 Nature 462, 7272 藻類と植物は光合成のために光を必要とするが、過剰な光は有害となることがあり、酸化的損傷を引き起こして細胞死に至る場合さえある。そこで光合成では、光化学系IIのクロロフィル分子のフィードバック調節された脱励起を介して集光過程をすばやく調節し、安全弁としている。真核藻類でのこの防御系の仕組みは、ほとんど解明されていない。LHCSRは、集光性タンパク質複合体スーパーファミリーに属する古いタンパク質で、維管束植物にはみられない。LHCSRをコードする3種類の遺伝子のうち2種類をもたない単細胞藻類コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)変異体を用いた研究で、このタンパク質が光強度の変動が大きい条件下での生存に必要とされることが明らかになった。このことから、植物と藻類は、光合成機構を損傷から守るのにそれぞれ異なったタンパク質を用いていることがわかる。 2009年11月26日号の Nature ハイライト 生理:膜の中の膜タンパク質 宇宙:球状星団は寄せ集め集団 工学:シリコンベースのスピントロニクス 認知:皮膚で聞く 生理:発熱に関与する骨タンパク質 免疫:新しいヘルプの方法 生態:根粒内での協力関係 細胞:強い光による損傷を防ぐ 細胞:こっそり隠されている変異 目次へ戻る