Nature ハイライト 工学:シリコンベースのスピントロニクス 2009年11月26日 Nature 462, 7272 スピントロニクスでは、従来型エレクトロニクスの基本単位である電子電荷に代わって、電子スピンの自由度が、将来のスピンベースの電子データ記憶やコンピューティング技術における情報担体として使われる。現在のエレクトロニクスではシリコンが普及しているので、シリコンベースのスピントロニクスデバイスを実現しようという努力がなされてきた。しかし、これまでのところ、そのようなデバイスで電荷キャリアのスピンの制御に成功したのは低温の場合のみであり、しかも1種類のキャリア(電子)のみに限られていたため、スピントロニクスの技術的可能性が制限されていた。今回、トゥエンテ大学(オランダ)の研究チームは、シリコンベースの三次元デバイスを作製し、電子と「正孔」(電子の抜けた孔で正電荷をもつ)の両方のスピン偏極を室温で注入して操作し、検出することに成功した。 2009年11月26日号の Nature ハイライト 生理:膜の中の膜タンパク質 宇宙:球状星団は寄せ集め集団 工学:シリコンベースのスピントロニクス 認知:皮膚で聞く 生理:発熱に関与する骨タンパク質 免疫:新しいヘルプの方法 生態:根粒内での協力関係 細胞:強い光による損傷を防ぐ 細胞:こっそり隠されている変異 目次へ戻る