Nature ハイライト 認知:皮膚で聞く 2009年11月26日 Nature 462, 7272 我々が誰かの話に耳を傾ける際には、複数の感覚を組み合わせて使っている。耳はもちろんのこと、目も話し手の表情を見るのに使われていて、子音の受容を変化させることがある。こうした組み合わせの中に触覚も入ることを示そうと実験が行われてきたが、これまで決定的な結果は得られていなかった。多くの言語では、空気を小さく破裂させるように吐き出して母音や子音を変化させる(破裂音という)。英語では「da」のような音と、マイクに息が当たるような「pa」の音を区別するのに破裂音が使われる。B GickとD Derrickは、この「わずかな空気の吹きつけ」を出発点にして、触覚が「聞こえ方」にかかわるかどうかを研究した。被験者に一連の子音を聞かせながら、同時にその手か首の皮膚に、ごく少量で音が聞こえない程度に空気を吹きつけてみた。すると、被験者が破裂音を聞いたと感じる確率が高くなった。つまり、空気を当てたことで「b」が誤って「p」と聞き取られたのである。この研究は将来、聴覚障害者のための聴覚補助具や通信補助具の開発に役立つかもしれない。 2009年11月26日号の Nature ハイライト 生理:膜の中の膜タンパク質 宇宙:球状星団は寄せ集め集団 工学:シリコンベースのスピントロニクス 認知:皮膚で聞く 生理:発熱に関与する骨タンパク質 免疫:新しいヘルプの方法 生態:根粒内での協力関係 細胞:強い光による損傷を防ぐ 細胞:こっそり隠されている変異 目次へ戻る