Nature ハイライト 細胞:こっそり隠されている変異 2009年11月26日 Nature 462, 7272 細胞が適切に機能するためには、メッセンジャーRNAをタンパク質に翻訳する過程が、全体として正確に行われなければならない。しかし、HeLa細胞を使った研究から、タンパク質合成に使用されるメチオニン残基はおよそ1%がアミノアシル化されて、「教科書では誤りとされる」tRNAができることが示された。ウイルス感染や、ウイルスあるいは細菌というToll様受容体リガンドの投与によって細胞がストレス条件下にあると、メチオニンが誤ってアシル化されたtRNAの割合が、意外にも大幅に増加する。ほかのアミノ酸について調べたところ、この現象はMetに限られたものであることがわかった。Met残基は活性酵素種による損傷からタンパク質を保護することが知られているので、Metの誤ったアシル化はストレスに対する本来的な防御応答なのかもしれない。 2009年11月26日号の Nature ハイライト 生理:膜の中の膜タンパク質 宇宙:球状星団は寄せ集め集団 工学:シリコンベースのスピントロニクス 認知:皮膚で聞く 生理:発熱に関与する骨タンパク質 免疫:新しいヘルプの方法 生態:根粒内での協力関係 細胞:強い光による損傷を防ぐ 細胞:こっそり隠されている変異 目次へ戻る