Nature ハイライト 構造生物学:細菌のDNA伝搬 2009年12月24日 Nature 462, 7276 細菌の個体どうしの接合によるDNAの伝搬は、細菌の進化の主要な要因であり、抗生物質耐性や毒性遺伝子の交換機構として実際的な見地からも重要である。ヒトにみられる病原性細菌の多くはグラム陰性で、こういうDNA伝搬はIV型分泌系によって仲介される。この系では、3つのタンパク質が内膜と外膜を貫く円筒状の構造(コア)を作るように配置されている。今回、IV型分泌系の外膜複合体の結晶構造が決定された。これは0.6メガダルトンという大きさで、構造が知られている外膜複合体中で最大のものである。この構造はDNAが細菌の細胞膜を通過する機構を示唆しており、これによって、抗生物質耐性や毒性遺伝子の拡散に対処するための、IV型分泌系を標的とする薬剤の開発が一歩進むと考えられる。 2009年12月24日号の Nature ハイライト 工学:単一分子トランジスターをめざして 宇宙:X線天文学の真打ち 遺伝:乳がんゲノミクス 構造生物学:細菌のDNA伝搬 宇宙:青色はぐれ星についての研究2つ 宇宙:磁場の中のボイジャー2号 環境:気候変動との競争 系統学:解読するゲノムの選び方 生理:健康長寿と繁殖力のための食事 目次へ戻る