Nature ハイライト 生理:健康長寿と繁殖力のための食事 2009年12月24日 Nature 462, 7276 さまざまな生物種で食餌制限は、繁殖力の低下という犠牲を払って寿命を延長することが示されている。これは栄養素が生殖から体細胞維持へ再配分されるからであり、限りのある資源に対する競争の一例であると考えるのが普通だろう。Grandisonたちは今回、ショウジョウバエ(Drosophila)では、食餌制限が栄養素の再配分を誘導していないことを明らかにした。寿命と繁殖力とでは、制限しているアミノ酸が異なるのである。彼らは、長寿ハエの繁殖力低下が、メチオニンのみの添加で回復することを見いだした。したがって、食餌制限をしなくても、食餌中のアミノ酸の比率を調節してやれば、長寿命と高い繁殖力は同時に獲得できると考えられる。これらの知見は、食べる量を減らさなくても、食事中の栄養素を調整することで、食事制限がもたらす恩恵を我々が享受できる可能性を示唆している。 2009年12月24日号の Nature ハイライト 工学:単一分子トランジスターをめざして 宇宙:X線天文学の真打ち 遺伝:乳がんゲノミクス 構造生物学:細菌のDNA伝搬 宇宙:青色はぐれ星についての研究2つ 宇宙:磁場の中のボイジャー2号 環境:気候変動との競争 系統学:解読するゲノムの選び方 生理:健康長寿と繁殖力のための食事 目次へ戻る