Nature ハイライト

遺伝:がんゲノムを比較する

Nature 463, 7278

今回発表された2種類のがんゲノム配列は、次世代の塩基配列決定技術によって、がんの発生にかかわる突然変異過程、修復経路、および遺伝子ネットワークに関してどのようなことがわかるかを明らかにしている。1番目の論文は、小細胞肺がん患者の骨髄転移巣に由来する細胞株のゲノムに関するものである。このがんは喫煙によって誘発されるがんの典型で、その塩基配列には、タバコの煙に含まれる60を超える発がん物質のいくつかに特徴的な変異が含まれている。2番目の論文は、1人の患者の黒色腫細胞株の全ゲノム配列と、リンパ芽球様細胞株のそれとを比較したものだ。これは固形腫瘍の完全な変異解析を行った初めての例であり、紫外線を浴びたことが原因のDNA損傷を表す突然変異の主要な特徴が明らかである。

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