Nature ハイライト 宇宙:銀河バルジの問題に取り組む 2010年1月14日 Nature 463, 7278 大部分の矮小銀河はほとんどバルジ(中心部のふくらみ)をもたず、冷たい暗黒物質からなる大質量でほぼ均一密度のコアハローに取り巻かれた回転する恒星円盤でできていることが、観測からわかっている。これは、冷たい暗黒物質が大部分を占めることが前提のモデルからの予測とはうまく一致しない。モデルでは、角運動量の小さいバリオンと暗黒物質が、降着と度重なる合体により銀河中心に落ち込んでいくため、形成される銀河は恒星密度の高い楕円体バルジと中心部の暗黒物質の急峻な分布を例外なく示すと予測される。Governatoたちは、流体力学的シミュレーションを行って、この矛盾を解決する結果を報告している。超新星からの強力なアウトフロー(噴出流)により角運動量の小さいガスが取り除かれ、これによりバルジ形成が妨げられて、銀河中心周辺の暗黒物質密度が低下するというのである。 2010年1月14日号の Nature ハイライト 化学:見直される主族元素 遺伝:ダイズゲノムの解読 遺伝:がんゲノムを比較する 構造生物学:Rubiscoの再構築 宇宙:銀河バルジの問題に取り組む 宇宙:恒星コロナのマップを作る 物理:加えられた次元 気候:山岳起源のモンスーン 進化:最初のヒナが肝心 目次へ戻る