Nature ハイライト 進化:最初のヒナが肝心 2010年1月14日 Nature 463, 7278 托卵されて宿主(仮親)となる鳥種の多くは、学習によって托卵鳥の卵を排除するが、ひとたび卵が孵化してしまうと、たとえ大きさが自分のヒナととんでもなく違っていても、托卵鳥のヒナを排除することは非常に少ない。同一種内で托卵をするアメリカオオバンは、ヒナを排除する例の1つである。この鳥で行われた、巣内のヒナを入れ替える一連の実験から、仮親は同腹仔の中で最初に孵化したヒナを「参照用の鋳型」とし、それより後に孵化するヒナが「侵入者」かどうかをそれによって判別していることがわかった。この学習様式から、托卵鳥に対する仮親種の防衛手段として托卵鳥のヒナを見分けるという方法が存在しないという謎が説明できるかもしれない。ほとんどの異種間托卵では通常、托卵鳥のヒナが先に孵化するため、そのヒナがうまく鋳型になってしまう可能性が高く、ヒナ識別は仮親側にとって非生産的なことと考えられる。 2010年1月14日号の Nature ハイライト 化学:見直される主族元素 遺伝:ダイズゲノムの解読 遺伝:がんゲノムを比較する 構造生物学:Rubiscoの再構築 宇宙:銀河バルジの問題に取り組む 宇宙:恒星コロナのマップを作る 物理:加えられた次元 気候:山岳起源のモンスーン 進化:最初のヒナが肝心 目次へ戻る