Nature ハイライト

Cover Story:けんか売りのショウジョウバエ:ショウジョウバエで見つかった攻撃フェロモンとその受容体

Nature 463, 7278

攻撃性を制御するフェロモンは昆虫とマウスで見つかっているが、これにかかわる神経回路の性質はまだ不明のままである。L WangとD Andersonは、雄のショウジョウバエが産生する揮発性のフェロモンcVA(cis-vaccenyl acetate)が、cVA受容体タンパク質Or67dを発現する嗅覚ニューロンの活性化により、雄の間での攻撃を促進することを明らかにしている。この神経回路は、cVAが促進する攻撃性を介して、餌に対する雄の個体群密度を調節しているらしい。こうして雄の分散が起こるとcVA濃度が低下して、それにより攻撃性が減弱する。遺伝学の古典的モデルであるショウジョウバエを用いたこの研究は、Natureの最近の特集記事で紹介されたマシンビジョン技術(2009年12月3日号p.562、動画はgo.nature.com/o8sRLs)を使って行われた。これによって、攻撃行動の詳細な遺伝的操作や研究に道が開けるだろう。表紙は、前方を歩くライバルの雄に対して「羽による威嚇」という典型的な攻撃行動をとる雄ショウジョウバエ(Letter p.227)。

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