Nature ハイライト

医学:ALSのリスク遺伝子

Nature 466, 7310

ルー・ゲーリッグ病としても知られている筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、よくみられる成人発症型神経変性疾患の1つだが、その治療法は見つかっていない。大半のALSは散発性であるが、患者の約10 %には家族性の要因があり、その中で最も一般的なものがSOD1(superoxide dismutase)遺伝子である。しかし、SOD1の変異を原因とする患者は、全体の約2 %にすぎないことから、これ以外のALSリスク因子の探求が現在も続けられている。TDP-43タンパク質は、未確定ながら、ALSの病因に関与していると考えられている。Eldenたちは、動物および細胞のモデルでは、脊髄小脳失調症2型に認められる変異型ポリグルタミン(polyQ)タンパク質であるアタキシン2が、TDP-43の毒性の強力な修飾因子であることを明らかにしている。915人のDNA解析から、ATXN2は比較的広く存在するALS疾患感受性遺伝子であり、ALS患者の最大で4.7 %がこれが原因であることがわかった。これらの知見は、TDP-43とアタキシン2との相互作用が治療上の標的となる可能性を示している。

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