Nature ハイライト 物理:多重エキシトンの限界は3 2010年8月26日 Nature 466, 7310 半導体における荷電粒子(電子と「正孔」)間の長距離相関によって、本来的に興味深く、光エレクトロニクスへの応用にも重要な多体効果が生じる。電子と正孔が対になったエキシトン状態は詳しく研究されてきたが、3個以上の荷電粒子を含む多重エキシトン状態の特性は、実験による観測が難しいため、ほとんどわかっていない。D Turner とK Nelsonは、多次元フーリエ変換分光法とよばれる分光手法を拡張して、この方法によりガリウムヒ素ナノ構造体でバイエキシトン、トリエキシトンなどの束縛されていない相関を発生させ、特性を決定できることを実証した。この実験では、最大で7個の光場の構造、時間遅延、光位相を同時に制御する必要がある。6個の粒子間の相関を伴うトリエキシトンが存在できるのかどうかがこれまでわかっていなかったため、得られた結果はこの点で特に興味深い。さらに、4エキシトン状態が存在しないことを示す明らかな証拠が得られ、この種の半導体の系では多体相関に上限が存在することが示された。 2010年8月26日号の Nature ハイライト 医学:ALSのリスク遺伝子 細胞:ウイルスによるp53の不活性化 宇宙:早くから存在したブラックホール 宇宙:ペアを作る小惑星 物理:多重エキシトンの限界は3 海洋:海洋生物多様性の調査 生態:カオス的な生態に対処する 脳:記憶におけるSIRT2の役割 細胞:α-N-メチル化酵素 目次へ戻る