Nature ハイライト 脳:記憶におけるSIRT2の役割 2010年8月26日 Nature 466, 7310 SIRT1はDNA修復やゲノム安定性にかかわるデアセチラーゼで、当初は非哺乳類のモデル系で寿命を調節する因子であることが明らかにされた。SIRT1は、脳の正常な生理機能にもかかわっていると考えられているが、高次脳機能に関与するかどうかはわかっていなかった。今回Gaoたちは、SIRT1にそうした役割があることを実証している。SIRT1の活性化が、シナプス強度と記憶形成を高めたのである。このSIRT1依存的影響は、CREB活性化とmiR-134産生がかかわる転写後調節機構によっている。SIRT1活性化とmiR134発現レベルとシナプスタンパク質の相互作用は、これまで知られていなかったシナプス可塑性調節の機構であり、SIRT1活性化は、認知障害などの神経変性疾患の治療に使えるかもしれない。 2010年8月26日号の Nature ハイライト 医学:ALSのリスク遺伝子 細胞:ウイルスによるp53の不活性化 宇宙:早くから存在したブラックホール 宇宙:ペアを作る小惑星 物理:多重エキシトンの限界は3 海洋:海洋生物多様性の調査 生態:カオス的な生態に対処する 脳:記憶におけるSIRT2の役割 細胞:α-N-メチル化酵素 目次へ戻る