Nature ハイライト
Cover Story:プロトンの感知:ナトリウム選択性イオンチャネルの構造
Nature 449, 7160
ASIC(acid-sensing ion channels)はプロトンにより活性化される受容体で、ヒトの多くの組織や器官に存在し、特に中枢および末梢神経系には豊富である。マウスを使った実験から、ASICは痛み感覚や恐怖条件づけ記憶に関係することが示されている。ASICは、ナトリウム恒常性維持から機械刺激受容にわたる広範な生物機能に関与する受容体スーパーファミリーに属している。しかし、この重要なタンパク質群の構造はこれまで明らかにされていなかった。今週号ではE Gouauxたちが、閉鎖状態のニワトリASIC1の高分解能の結晶構造を報告している。これまでに調べられた他のチャネルとは異なり、ASIC1は三量体である。表紙は、ASIC1の大きな細胞外領域(表紙の上半分、細胞膜は2本の横線で示す)で、多くの窪みと突出がみられ、プロトンの検出にかかわる酸性残基対が存在している [Article p.316, News & Views p.293]。
2007年9月20日号の Nature ハイライト
進化:ヨーロッパへ向かった人類
量子情報科学:オンチップ量子光学
地球:残っているアルゴン40
気候:メタンによる温暖化の証拠
発生:受精におけるカルシニューリン
細胞:マークのついた幹細胞
細胞:ノッチシグナル伝達が左右する幹細胞の運命
免疫:免疫系内のバランスを保つ