Nature ハイライト 細胞:ノッチシグナル伝達が左右する幹細胞の運命 2007年9月20日 Nature 449, 7160 ほとんどの幹細胞系には、増殖性の異なる細胞型が存在することは広く認められている。しかし、これらの幹細胞と、細胞運命が制限されている前駆細胞サブセットとの間の違いに関しては、あまりよくわかっていない。今回ジョンズホプキンス大学のチームは、発生過程にあるマウスの脳で、「真の」神経幹細胞と、それに似ているが分化能の低い前駆細胞という2つの異なる細胞集団が区別されていく仕組みを見いだした。幹細胞は段階的に成熟し、徐々に「幹細胞」としての特性を失っていく。まず、多くの組織で幹細胞を制御しているタンパク質であるノッチの下流でどのようにシグナルが伝達されるかが指示されることにより、幹細胞が「前駆細胞」に変わる。続いて2つの細胞型への分岐が起こるが、このとき重要な要因は、CBF1と呼ばれるノッチシグナル伝達タンパク質が活性をもっているか、いないかである。CBF1のシグナル伝達は血液幹細胞の場合と同じような役割を果たすので、これは、幹細胞と前駆細胞を区別する共通の「スイッチ」である可能性がある。 2007年9月20日号の Nature ハイライト 進化:ヨーロッパへ向かった人類 量子情報科学:オンチップ量子光学 地球:残っているアルゴン40 気候:メタンによる温暖化の証拠 発生:受精におけるカルシニューリン 細胞:マークのついた幹細胞 細胞:ノッチシグナル伝達が左右する幹細胞の運命 免疫:免疫系内のバランスを保つ 目次へ戻る