Nature ハイライト 地球:残っているアルゴン40 2007年9月20日 Nature 449, 7160 希ガスは地球などの「地球型」惑星のマントルからの脱ガスを追跡するのに広く用いられているが、新たに行われた研究によってこの手法に疑いがもたれるようになりそうだ。つまり、大気中のアルゴン40の存在度は、マントルの部分溶融とその後のメルトの地表への上昇と気体の離溶によって、長い時間をかけて地球内部から失われた気体の総量にあたると考えられている。上部マントル中の鉱物であるカンラン石と斜方輝石へのアルゴンの溶解度に関する新しいデータは、こういう考え方に対する2つの問題点を明らかにしている。第一は、希ガスはすべてマントルが融解する際に液相濃集元素としてふるまうという暗黙の仮定が、アルゴンは地球型惑星の主要相とこれまで考えられていたよりも相性がよいらしいとわかったために崩れたことである。第二は、アルゴンのこのような相内での拡散速度が小さいことだ。今回の結果は、上部マントルからはアルゴン40が完全に脱ガスしているというこれまでの考えに疑問を投げかけ、惑星の脱ガスを調べる上でのアルゴン40の有用性が疑われることになった。 2007年9月20日号の Nature ハイライト 進化:ヨーロッパへ向かった人類 量子情報科学:オンチップ量子光学 地球:残っているアルゴン40 気候:メタンによる温暖化の証拠 発生:受精におけるカルシニューリン 細胞:マークのついた幹細胞 細胞:ノッチシグナル伝達が左右する幹細胞の運命 免疫:免疫系内のバランスを保つ 目次へ戻る