Nature ハイライト 細胞:レトロウイルス様エレメントによってプライミングされる幹細胞 2012年7月5日 Nature 487, 7405 マウスの胚は、2細胞期の後、すべての胚体細胞種および胚体外細胞種を作り出して1個の動物体を発生させる能力である「分化全能性」をしだいに失っていく。後期胚盤胞期胚の内部細胞塊に由来する胚性幹(ES)細胞は、胚体外組織に寄与できないと考えられている。今回S Pfaffたちは、培養ES細胞群内に、これまでは2細胞期胚でのみ見られていた転写産物を発現し、胚体外組織に発生できる能力を持っている希少な細胞が存在することを報告している。ほぼすべてのES細胞が、この2細胞期様の特権状態に一時的に入り、この転換はヒストン修飾酵素によって部分的に調節されている。興味深いことに、2細胞期様胚の転写産物の多くが内在性レトロウイルス様エレメントによって開始されるので、有胎盤哺乳類は細胞運命の調節のために外来配列を盗み取ったと考えられる。 2012年7月5日号の Nature ハイライト 細胞:レトロウイルス様エレメントによってプライミングされる幹細胞 宇宙:宇宙で最初の星を追う 宇宙:形成途中の惑星たち 物性:電圧で制御するグラフェンプラズモニクス 化学:β-ジケトンの反応性に関する新しい考え 古人類学:森の果実を楽しんだアウストラロピテクス 医学:乳脂肪は腸内細菌叢を変化させる 細胞:サーチュインSIRT7は腫瘍進行にかかわっている 合成生物学:哺乳類の単一細胞によるバイオコンピューティング 目次へ戻る