Nature ハイライト
Cover Story:琥珀の中の蜂:送粉者の化石によって明らかになったランの起源年代
Nature 448, 7157
ダーウィンの時代から、生物学者たちはランとその送粉者の間の親密な関係に魅せられてきたが、この関係がいかに古いものかが、今週号の表紙に掲げられている素晴らしい化石により実証された。ドミニカ共和国で見つかったこの2,000万〜1,500万年前の琥珀の中に保存されていたのは、ランの花粉塊を背中に付けたハリナシバチである。花粉塊は雄性の繁殖構造物で、多量の花粉(粒)を備えており、これが送粉時に1つのユニットとして運搬される。意外なことに、疑いなくラン科植物のものとされる化石として、これは初めて見つかったものだ。花粉塊の形態から、この植物はGoodyerinae亜連であることがわかった。このことと近縁種化石の年代を併せて考えることで、ラン科の分子系統の新しい時間目盛りが得られた。今回の解析により、ラン科の起源は比較的新しい(第三紀)とする一般的な説が棄却され、その起源は8,000万年前の後期白亜紀であることが示唆される(Letter p.1042, www.nature.com/podcast)。
2007年8月30日号の Nature ハイライト
細胞:幹細胞がニッチを作る仕組み
地球:酸素濃度の上昇が遅れた理由
宇宙:星周エンベロープの中をのぞく
気候:植物が気候に及ぼす影響
生態:種の移動性を考慮する
遺伝:マウスのハップマップが完成
動物行動:フェロモンで決まる愛の形
生理:ショウジョウバエはソーダ水の味がわかる