Nature ハイライト 気候:植物が気候に及ぼす影響 2007年8月30日 Nature 448, 7157 植物の生理学的性質が及ぼす影響が、大陸の河川流出量の将来変化にどの程度寄与するかを評価したところ、将来の地球温暖化シナリオの条件下では、洪水の危険性が予想されていたよりも大きくなる可能性が示唆された。植物は気孔によって二酸化炭素を取り込むが、気孔からは水が失われる。二酸化炭素濃度が高いと気孔はあまり大きく開かなくなり、植物が失う水の量が減って、その結果、陸地の表面により多くの水が残ることになる。この影響は、20世紀に観測された大陸の河川流出量の増加に寄与していた可能性があるが、河川流出量の将来変化の予測のほとんどで、この影響は考慮されていない。「二酸化炭素換算量」の概念は、温室効果ガスが気候に与える影響の比較に広く用いられているが、植物がもたらすこの影響が取り込まれていないので、今回得られた知見を踏まえた再検討が必要かもしれない。 2007年8月30日号の Nature ハイライト 細胞:幹細胞がニッチを作る仕組み 地球:酸素濃度の上昇が遅れた理由 宇宙:星周エンベロープの中をのぞく 気候:植物が気候に及ぼす影響 生態:種の移動性を考慮する 遺伝:マウスのハップマップが完成 動物行動:フェロモンで決まる愛の形 生理:ショウジョウバエはソーダ水の味がわかる 目次へ戻る