Nature ハイライト
宇宙:エタンの塵に覆われたタイタン?
Nature 443, 7112
カッシーニ・ホイヘンス探査機が到達するまで、土星の衛星タイタンでは液体エタンの広大な海が見つかるだろうと予想されていた。太陽系誕生以来浴びていた、太陽からの紫外線照射でメタンが分解し、タイタン全体にわたって深さ1キロメートルの海ができるのに十分な量のエタンが発生したはずだと考えられていたのである。しかし海は見つからず、あったのは南極上空のエタンの雲といくつかの湖だけである。D Hunten は、液体エタンがわずかしかない理由を、エタンは低温で液滴になったのではなく、多量のスモッグ粒子の表面に凝結したのだろうとして説明している。スモッグとエタンが結合して塵(ダスト)状になったこの「スマスト」が、タイタン表面に数キロメートルの厚さで堆積しているのかもしれない。
2006年10月12日号の Nature ハイライト
医学:裏通りの薬剤治療
科学と芸術:宇宙と交わるガラスのオブジェ
細胞:アポトーシスの調節
宇宙:エタンの塵に覆われたタイタン?
宇宙:初期宇宙での相転移
地球:酸素増大が遅れた訳
発生:複眼の構造変換
生理:血流量を制御する細胞
生理:もう満腹と言わせる分子
遺伝:DNA の変性