Nature ハイライト

発生:複眼の構造変換

Nature 443, 7112

リチャード・ドーキンスは、自然選択を視野も見通しもない「盲目の時計職人」になぞらえた。この「時 計職人」が仕事中の姿をみられる機会はそうない、とK Moses はNews and Views で述べている。Moses がここで言う「仕事」にあたるのが、先祖型のハエや現在のハチや甲虫など一部の昆虫にみられる複眼構造から、ショウジョウバエやイエバエの眼でみられる複眼構造への転換である。前者では光感受細胞、すなわち感桿分体が互いに融合して1 つの単位として機能するが、後者では感桿分体が独立に働くため、個々の個眼は1 つの点ではなく7 つの点で光を感知する。Zelhof たちは、感桿分体の集合にかかわる3 つの遺伝子を同定した。そのうちの1つであるspacemaker という遺伝子が欠失すると、ショウジョウバエの開放型の構造が閉鎖型(融合型) の構造へと変換される。

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