Nature ハイライト
地球:酸素増大が遅れた訳
Nature 443, 7112
地球大気中の酸素レベルが最初に大幅に上昇した「大酸化」は、酸素発生型光合成の出現の後、少なくとも3 億年たってから起こったと考えられているが、このような遅れが生じた理由ははっきりしていない。Goldblatt たちは、全球的な酸化還元系に対する新しい概念モデルを用いて、酸素発生型光合成の出現後には、大気中の酸素レベルは高い状態あるいは低い状態のいずれでも安定化できたことを示している。大酸化は、これらの状態を切り替える、比較的小さな環境変化によって作動するスイッチの結果だった可能性がある。このモデルは、酸素発生型光合成だけでは酸素に富む大気が生じる原因としては不十分であることを示している。したがって、さらにほかの要因がからまなかったら、地球大気の酸素は、我々が恩恵を受けている21% という濃度ではなく、ほんの数ppm の濃度にしかならなかった可能性もある。同様に、酸素発生型光合成は大気中の酸素レベルが低い惑星上でも進化したかもしれない。
2006年10月12日号の Nature ハイライト
医学:裏通りの薬剤治療
科学と芸術:宇宙と交わるガラスのオブジェ
細胞:アポトーシスの調節
宇宙:エタンの塵に覆われたタイタン?
宇宙:初期宇宙での相転移
地球:酸素増大が遅れた訳
発生:複眼の構造変換
生理:血流量を制御する細胞
生理:もう満腹と言わせる分子
遺伝:DNA の変性