Nature ハイライト
物性:閃光が誘電体を伝導体に変える
Nature 493, 7430
光場を用いた誘電体における超高速信号操作の可能性が、今週号の2編の研究で報告されている。電気信号処理に関して言えば、最適な材料は半導体である。しかし、誘電体などの絶縁体は、魅力的な代替材料になる可能性がある。原理的には、高速応答するからだ。だが、誘電体は通常、低電場では伝導性がきわめて低く、高電場では絶縁破壊する。ところが、誘電体の電子物性は数サイクルのレーザーパルスで制御でき、そうしたパルスであれば高電場でも誘電体に損傷を与えない。A Schiffrinたちは、制御された数サイクルの波形を持つ強いレーザー光場によって、光の周期の範囲内(1フェムト秒以内)で誘電体を絶縁体から伝導体に可逆的に変換できることを実証している。一方、M Schultzeたちは超高速可逆性という重要な問題に取り組み、誘電体を劣化させることなく光場で繰り返しオン・オフ切り替えができることを実証している。
2012年1月3日号の Nature ハイライト
物性:風変わりな金属状態
遺伝:ヒトの腸内微生物叢の遺伝的変動
構造生物学:プレセニリンの構造決定
宇宙:銀河中心から噴き出る磁気アウトフロー
物性:閃光が誘電体を伝導体に変える
気候:政治的なためらいは高くつく
進化:エディアカラ紀の陸上生物
脳:視覚皮質では神経抑制が支配的
発生:振動する遺伝子を介する胚でのスケーリング
細胞:足場タンパク質が細胞周期の停止に歯止めをかける