Nature ハイライト
物理:電子ビームを操作する新しい方法
Nature 494, 7437
広く知られているように、光は直進する。にもかかわらず、数年前には、特別に調整された光ビームが曲がった軌道を広がらずにたどることが示された。このようなビームは、量子力学で知られているエアリー関数と呼ばれる波形に従う。エアリー関数は、虹の中の光の軌道に関する研究について天文学者サー・ジョージ・ビドル・エアリーが最初に考案した概念である。今回、自由電子からなるエアリービームが実証され、電子を操作する新しい可能性が期待される結果が得られた。電子がナノスケールのホログラムを通って回折すると、エアリー電子ビームの円弧が発生する。このホログラムによって、電子の波動関数に特定の位相変調が与えられる。こうしたビームは外部からの力がなくても空間中で曲がり、最大100 mの距離にわたって局在し続け、障害物を通過した後、自己修復できる。今回の結果は、高性能電子顕微鏡での使用や新しい種類の電子干渉計の基盤などに応用できる可能性がある。
2013年2月21日号の Nature ハイライト
細胞:オートファジーは両刃の剣
宇宙:ブラックホール質量の新たな測定法
物理:電子ビームを操作する新しい方法
材料:新型のエレクトライド
気候:熱帯林の炭素収支
進化:種分化への足がかりとなる性フェロモン
微生物学:サルモネラ菌のバランス戦術
生態:細菌SAR11はウイルス感染があっても繁栄している
医学:脱アミノ反応が引き起こすがん変異
生化学:代替NF-κB 経路の制御