Nature ハイライト
生態:細菌SAR11はウイルス感染があっても繁栄している
Nature 494, 7437
SAR11クレード(サルガッソー海で発見されたことにちなんで、こう名付けられた)の細菌は、世界の海洋に群を抜いて豊富に存在する微生物であり、そのため、炭素循環の重要な要因の1つとなっている。今回、米国オレゴン州の沿岸とバミューダ沖で採取した海水試料から、SAR11に感染するウイルス(すなわちファージ)が数種類単離され、培養が行われた。メタゲノミクス解析により、このような「ペラジファージ(pelagipharge)」は太平洋に多く見られることがわかった。これらの知見は、SAR11の繁栄を説明するために考え出された最近の仮説、すなわちSAR11はウイルスによる感染に抵抗性があるのだろうとする見方には反している。SAR11が圧倒的に優勢なのは、ウイルス抵抗性のためというより、資源競争にうまく適応するよう進化したためではないかと著者たちは考えている。
2013年2月21日号の Nature ハイライト
細胞:オートファジーは両刃の剣
宇宙:ブラックホール質量の新たな測定法
物理:電子ビームを操作する新しい方法
材料:新型のエレクトライド
気候:熱帯林の炭素収支
進化:種分化への足がかりとなる性フェロモン
微生物学:サルモネラ菌のバランス戦術
生態:細菌SAR11はウイルス感染があっても繁栄している
医学:脱アミノ反応が引き起こすがん変異
生化学:代替NF-κB 経路の制御