Nature ハイライト

Cover Story:うさんくさい数字:漁獲量データは魚の存在量を本当に反映しているのかどうかで沸き立つ議論

Nature 494, 7437

世界の漁業は無秩序状態にある。一部の海域では捕獲量が安定しており、漁業者たちもすべて順調だと断言している。それでも、魚類個体数の激減を報告して、漁場の制限を求めている研究者もいる。重要な問題の1つは、年ごとの漁獲量の見積もり値を使って漁場の健全度を評価することが妥当なのか、そうでないのかということだ。今週号のCommentでは、真相の把握が試みられている。D Paulyは、多くの漁場で手に入る唯一のデータである漁獲量は、魚類個体群の健全度を示す重要な標識であると論じている。現在、漁業者の大半は、同じ海域で以前より少ない量の魚を捕っている。漁獲量データからは、こうした傾向を覆すのに研究者が手を貸そうとする場合に必要となる情報が得られるだろう。R HilbornとT Branchはこうした考え方に納得しておらず、漁獲量を決めているのは、個体数だけでなく、もっと多くの要因がかかわっていると論じている。漁獲量データは漁場管理の観点からすれば重要だが、それだけでは、海に魚がどれだけいるのかという疑問に答えることはできないというのだ。(Comment p.303)

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