Nature ハイライト 進化:1+1が3になる 2006年6月15日 Nature 441, 7095 種分化は一般的に1つの系統が2つに分岐した結果だと考えられているが、近年の研究では、種の起源として交雑(2つの祖先分類群から染色体数の変化を伴わない雑種形成で第3の種が生じること)が従来考えられていたよりも重要な原動力であることがわかってきている。この現象はめったに起こらないと考えられているが、新しい事例が次々に見つかっている。その最新の例が、Heliconius heurippaという熱帯に生息するドクチョウの仲間だ。この種は雑種ゲノムをもつことが知られており、H. cydnoとH. melpomeneという別の2種が交雑したような外観をしている。さらに、雑種形質が生殖隔離の直接的原因となることは実験によって明らかにされている。今回、繁殖実験によってH. heurippaがもつ中間的な翅色が再現され、その特徴的な翅のパターンが原因となって親種から生殖的に隔離されることが示された。 2006年6月15日号の Nature ハイライト 細胞:エイズウイルスの構造 宇宙:地球の中心部を調べる 宇宙:衛星の重さが決まる仕組み 細胞:単一細胞プロテオミクス 物理:ありそうもない結合 進化:1+1が3になる 化学:新しい形態の二酸化炭素 認知:探索の精神の宿るところ 神経:きれい好きは健康のもと 目次へ戻る