Nature ハイライト 物理:ありそうもない結合 2006年6月15日 Nature 441, 7095 物理学では、互いに引力を及ぼし合う物体は、もっているエネルギーを下げることにより安定な束縛状態を形成するというのが常識だ。しかし、斥力相互作用をしている場合でも、特定の条件下では安定な複合物が存在する。今週号には、そのような珍しい束縛状態を作り出したことが報告されている。この状態は、光格子中にある極低温のルビジウム原子のペアが作り出すものだ。強い斥力相互作用をするこの原子ペアは、光格子中で特定の位置にあると、自らの位置エネルギーを運動エネルギーに転換できないために崩壊しなくなり、安定となる。この現象は、極低温の量子気体の構造を記述するボーズ‐ハバード模型の拘束条件によって説明できる。 2006年6月15日号の Nature ハイライト 細胞:エイズウイルスの構造 宇宙:地球の中心部を調べる 宇宙:衛星の重さが決まる仕組み 細胞:単一細胞プロテオミクス 物理:ありそうもない結合 進化:1+1が3になる 化学:新しい形態の二酸化炭素 認知:探索の精神の宿るところ 神経:きれい好きは健康のもと 目次へ戻る