Nature ハイライト
材料:ひずむと強くなる
Nature 496, 7445
ほとんどの材料は、ひずませていくと弱くなり、ついには破壊される。しかし例外もある。ひずませると剛くなるひずみ剛化(strain stiffening)は、血管や皮膚などの複雑な生体系では普通に見られ、柔組織が過剰に変形しないように保護している。この現象は、結晶固体ではまれなのだが、C JiangとS SrinivasanはFe3C(炭化鉄)とAl3BC3(ホウ炭化アルミニウム)でも可逆的なひずみ剛化が起こり、これらの現象には異なる機構が働いていることを量子力学計算で明らかにしたと報告している。Fe3Cでひずみ剛化が起こることは、技術的に特に関心を集めそうだ。Fe3Cはセメンタイトとも呼ばれ、炭素鋼に見られる析出物だからである。したがって、これらの結果は、鉄鋼などの構造材料の硬さと強度を予測するモデルの開発に役立つ可能性がある。
2013年4月18日号の Nature ハイライト
構造生物学:細菌カリウム輸送体の特性
宇宙:明らかになり始めた大質量スターバースト銀河
材料:ひずむと強くなる
物理化学:有機化学的性質を明らかにする超高輝度電子線
環境科学:水フラックスの算定では植物が支配的である
考古学:魚の調理に使われた最古の土器
生態:転換点までの距離を測る
発生:胚でのレチノイン酸の分布