Nature ハイライト
水産学:温暖化に対する魚類個体群の応答
Nature 497, 7449
気候が温暖化する中、海洋では低い水温に適応した冷水種に代わって暖水種が増加すると予想されている。そうした特徴的パターンが今回、52の大規模な海洋生態系(世界の主要な漁場の大半を含む)の1970〜2006年の漁獲構成の研究で見つかった。この研究では、1つの指標として、平均漁獲水温(mean temperature of the catch;MTC)が考案された。これは、漁獲種の平均推定水温選好性に、年間漁獲量に応じた重み付けをして算出される。対象となった数十年にわたって、世界の水温選好性は10年間に約0.2°Cの割合で上昇し、この影響は熱帯以外の水域でより顕著であった。得られた知見を総合すると、気候変動が沿岸域の地域社会の経済や食糧確保に及ぼす影響を最小にとどめるための適応策を立てる必要性がはっきり浮かび上がってくる。
2013年5月16日号の Nature ハイライト
進化:系統発生解析に待ったをかける
構造生物学:smoothened受容体の構造
宇宙:天王星と海王星の気候は薄い層に閉じ込められている
工学:エネルギー効率の良い電気ポラリトンレーザー
材料:環境によりやさしい鉄鋼生産
進化:発生に基づく遺伝子型–表現型マップ
水産学:温暖化に対する魚類個体群の応答
細胞生物学:低酸素がmiRNAに与える影響
微生物学:バイオフィルムは「金持ちはさらに金持ちに」型の仕組みによって作られる
生化学:感染性インフルエンザウイルスの受容体との結合