Nature ハイライト
Cover Story:脳をのぞく窓:脳を透明化する手法によって見られるようになった神経接続の三次元像
Nature 497, 7449
表紙は、マウスの海馬を無傷状態で透明化したものの三次元画像で、YFP(緑)、パルブアルブミン(赤)とグリア繊維酸性タンパク質(青)を発現しているニューロンが見られる。これまで、生体組織の高分解能での画像化には切片化が必要だったが、切片化を行うと脳のような組織では長距離にわたる接続性が失われてしまうことになる。今回、K Deisserothたちは、無傷で完全な状態の器官を、光学的に透明で、巨大分子が透過可能な状態にする方法を開発した。この方法は、組織に基づく基礎構造をハイドロゲルを使って組織内に構築するもので、これによって光を散乱する脂質成分が除かれて透明な脳ができる。CLARITYと名付けられたこの方法では、マウスの脳全体や、ホルマリン中に長期にわたって保存されていたヒト臨床検体のような非切片化組織で、タンパク質の抗体標識を繰り返し行ったり、核酸のin situハイブリダイゼーションを行ったりすることが可能である。
2013年5月16日号の Nature ハイライト
進化:系統発生解析に待ったをかける
構造生物学:smoothened受容体の構造
宇宙:天王星と海王星の気候は薄い層に閉じ込められている
工学:エネルギー効率の良い電気ポラリトンレーザー
材料:環境によりやさしい鉄鋼生産
進化:発生に基づく遺伝子型–表現型マップ
水産学:温暖化に対する魚類個体群の応答
細胞生物学:低酸素がmiRNAに与える影響
微生物学:バイオフィルムは「金持ちはさらに金持ちに」型の仕組みによって作られる
生化学:感染性インフルエンザウイルスの受容体との結合