Nature ハイライト

生物無機化学:効率の良い水素生成のモデル

Nature 499, 7456

[FeFe]ヒドロゲナーゼは、さまざまな細菌や藻類でエネルギー代謝に関与する金属酵素であり、非常に高い触媒性能を持つ。もしこの酵素を燃料電池の水素生成・利用手段として応用できれば、極めて有益だろう。[FeFe]ヒドロゲナーゼでは、1個のジチオレート架橋配位子、3個のCO配位子、2個のCN配位子を含む特異な二核鉄中心で触媒作用が起こる。今回、この二核鉄中心の3種類の合成模倣体を[FeFe]ヒドロゲナーゼ成熟タンパク質HydFに担持させた後、藻類変異株のアポ-HydA1に移せることが示された。HydA1の完全な活性化は、アザジチオレート架橋配位子を持つ模倣体を含むHydFハイブリッドタンパク質によってのみ実現され、アザジチオレート架橋配位子が天然の[FeFe]ヒドロゲナーゼの活性部位に存在することが裏付けられた。この結果は、特定のタンパク質骨格と合成した活性部位類似体を組み合わせることによって金属酵素の活性化を制御した初めての例である。

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