Nature ハイライト

応用物理学:自己組織化するマイクロロボットを目指して

Nature 503, 7474

それぞれ数千の転がるコロイド粒子からなる2つの「群れ」が衝突する様子(重ね合わせ画像)。
それぞれ数千の転がるコロイド粒子からなる2つの「群れ」が衝突する様子(重ね合わせ画像)。 | 拡大する

Credit: Denis Bartolo, Antoine Bricard and Nicolas Desreumaux

自然界では、群を成す鳥から、群泳する魚や集団移動する細菌まで、あらゆるスケールの集団運動が観察される。しかし、そうした挙動を単純な物理モデルで捉えることは難しい。集団的挙動を示す人工的な「アクティブマター」系は、衝突に頼ることが多く、相互作用の記述が複雑になる。今回、D Bartoloたちは、自己推進型の転がる球体からなる類のない実験系を開発した。これらの球体は、自己組織化し、数百万個の集団になって一方向に動く。球体は単純な流体力学的相互作用を通して互いを「検知」するので、全てのパラメーターを容易に計算し調節できる。この研究は、均一な活動集団に安定な方向性運動をさせるには、個々のレベルでの純粋な物理的相互作用で十分であることを実証している。この系を用いれば、自然界での集団運動をモデル化したり、新しい自己組織化材料や集団移動するマイクロロボットを設計したりできる可能性がある。

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